この過保護の鬼の名を翼(つばさ)という。呼び方は音読みで"ヨク"だ。この男は亡くなった(らしい)両親の親友らしく、今は私の保護者だ。
「そろそろ夕飯だぞ、手洗ってきな」
「…いらないお腹すいてない」
「だめだ!お前は放っておけば1ヶ月でも平気で飯抜くだろ」
「じゃあ、後で食べる」
「…はぁ、まったくよぉ」
明日からひとりなのに不安でしょうがねぇよホント、とぶつぶつ言うヨクを無視して自室となる部屋へと足を向けた。
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自室の中はクローゼット、クイーンサイズのベッド、ドレッサーが置かれている。それらも全て黒で統一されていた。片付いているためヨクが片付けてくれたようだ。流石過保護&面倒見の鬼だな。
…記憶を失ったあの日から睡眠不足のこの体は容易にベッドに倒れてしまう。しかし、眠りにつくことも出来ず寝返りを打てばドレッサーの上に置かれた写真立てが目に入った。