綺麗な夕暮れの海を数時間眺めた後、私はバイクを飛ばして新たな住居に帰り着く。
ここは所謂高級マンション。しかも、これから自分が住むのは最上階の30階なのだ。
エレベーターで最上階まで上がり、認証キーをかざして暗証番号を打つ。それでやっと扉が開くのだ。…なんでこんなに面倒臭いとこにしたんだあいつは。
ため息をつきながらたったひとつしかないドアを開けて中に入った。
リビングのドアを開けてみれば、たったひとりで住むには広すぎる室内が存在していた。
「おかえりー」
声がする方へ視線を向けると、キッチンで何やら料理をするサラサラ茶髪男がこちらに手を振ってニコニコしていた。
「…ヨク、エレベーターのあれどうにかならないの」
「あ、あー…あれはどうしようもないな」
どうせ過保護なヨクの事だ、安全だ防犯だと言いたいのだろう。