「まぁ、残念ですがいいでしょう。遠慮なく聞けますから」

そう口角を上げながら言われ、若干カチンと来たのは当然の反応だろう。

「名前は神楽梓さん、年齢は15歳で生誕月日は2月14日で間違いありませんか?」

「…ない」

「梓ちゃんの誕生日バレンタインだねぇ〜!いいなぁ〜お菓子いっぱい貰えるじゃん」

「…甘いもの嫌い」

そう返せばこの世の終わりかのような表情を浮かべていたため、見なかったことにした。



「隣街から引っ越してきたそうですが、この街DAZについては知っていますか?」

「…まぁ、知ってる」


「どの程度知っているのか教えてください。」


私が『知っている』と口にした時、この場にいる全員の表情が一瞬険しくなったのを私は見逃さなかった。