そう言いドアに向かって歩き始めると、右腕に重みを感じる。視線を向けると、茶髪の彼女が抱きついていた。

「…帰っちゃうの?もっとお話しよう?」

身長の低い彼女から繰り出される涙目&上目遣いは、実は可愛いもの好きの私には破壊力抜群だった。思わず体がフリーズする。

「なんや〜お嬢ちゃん無表情のまま固まっとるで〜」

「ほんとだね〜」

つんつんと彼女に頬をつつかれて我に返った。

「悪いけどめんどくさくなりs「あぁ、そっか!みんな自己紹介してなかったね」…」

何故か勝手に話を進められて自己紹介が始まってしまった。


「じゃあ、まずは私から!アズサちゃんと同じクラスの三輪桜子(みわさくらこ)です。前後の席だからお話しようね!みんながサクラって呼ぶからアズサちゃんもそう呼んでね〜」

前の席のあの柔らかそうな茶髪の女は三輪さんだったらしい。どうりで見覚えがあると思ったわけだ。ではお言葉に甘えてサクラと呼ばせてもらおう。