「愛しの彼氏が生徒会室でお待ちだよ〜」

「…もう!からかわないで」


僕が冷やかしで言えば、涙目で頬を赤く染めてキッと睨んでくる彼女。今まで何人の男がサクラちゃんに惚れたことか…。


僕達がこんな風に話していてもなお、全く起きる気配のない"彼女"は、結構眠りが深い様子。僕はそんな"彼女"を抱き上げて横抱きすると、教室のドアから廊下へと出た。


サクラちゃんは"彼女"と自分のカバンを持って、どこか楽しそうな表情で少し後ろを歩いてくる。廊下は女子の悲鳴と陰口の嵐。ホント不愉快。

「神楽さんすごく美人だよね。女の私でも惚れちゃうくらいに」

女子によって生み出された喧騒の中でも全く変わる様子のないサクラちゃんは、若干頬を染めながら言う。