梓side


あの自己紹介の後に席に着くよう促され、窓側の一番後ろの席に座った。前の席では柔らかそうな胸元までの茶髪の女子が小さくあくびをこぼしている。その隣は空席だった。



SHRでの(ショートホームルーム)での先生の話を軽く聞き流しながら窓の外を見ていた。窓の外を見れば"満開の桜"…と言いたいところだが、現在は5月なので"生い茂る緑の葉"というのが正しい。

僅かに開いた窓の隙間から爽やかな風が吹いて、私の長い黒髪を攫っていった。ここ数年続く睡眠不足のせいで、睡魔が私の意識を奪おうとしている。ついに眠気に負け、私は机の上に上半身を伏せた。



__________気づけば私は「睡魔」という名の大敵に負けてしまっていた。