さっきまで眩しいくらいの笑顔を浮かべていたチヒロの表情が一気に真剣な表情へと変わる。

「…何かあったの?」


その一言で、生徒会室はピンと張り詰めた空気になるのが分かった。全員が一挙一動見逃さないようにユキヤを見ている。ユキヤは若干伏せていた目線を上げると、


「今日1年生に転入生が入りました。クラスはD組で、名前は神楽梓。性別は女です」

感情の含まれない淡々とした声で情報を口にした。


「あとの情報は資料を見てください」


しばしの沈黙の間、ひとりひとりが"彼女"の情報の資料に目を通していた。そして数分後。




「べっぴんさんやとええなぁ〜」
「黙りなさい女たらし」


アッシュグレーの一言によって真剣な空気はぶち壊されたのであった。