教室の中に入ると、空気が変わるのが分かった。教室という1つの箱の中には個々の人間が醸し出す雰囲気の集合体があるのだ。私にとって今の雰囲気は不快で仕方が無い。

転入生の宿命と言ってしまえばそれまでだが、今、教卓まで歩く私がどんな人間なのか、隅々まで観察している視線がいくつか現在進行形で突き刺さっている。

クラスメイトを一切視界に入れずに教卓まで歩いた。


まぁ、とりあえず言いたいことは『なぜ、こんなに静かなんだ』ということである。さっきまで喧しい程に騒いでたのに…。今は息づかいくらいしか聞こえない。余計緊張するわ。(この時変わらず無表情である)



そして、教卓について初めてクラスメイトに向き直る。…と、大半が茫然としている顔とご対面したのだ。

何故茫然としているのかは…全く謎なのだが。