梓side
…どのくらい時間が経っただろうか。
すっかり辺りは闇に包まれ、夜の風貌に変わった。
私の周りにはまだ、鉄パイプを持つ十数人の男が無傷な状態で立っている。大して私はもう何発もの鉄パイプを体に受けており、額から流れる赤い液体で片目が見えていない。
「おいおいまじでこいつバケモンだわ」
「こんな状態でまだ立ってやがる」
体の痛みはもう麻痺して感じなくなってしまったようだ。意識が朦朧としているのか自分の体がふわふわと浮いているような感覚になった。
…あぁ、なんでこんな事になってしまったのだろう。サクラと楽しいショッピングになるはずだったというのに。早くサクラの無事を確認したい…早く片付けて帰らないと。
しかし、残り十数人の男達など今の状態の私が相手できるはずもなく…なす術もなくコンクリートへと押し倒された。