桜子side
「いっ、やだ…いやだ!離して!アズサちゃんがっ!」
護衛の人に腕を掴まれて、半ば強引に路地裏から離れていく。私は、いやだいやだと泣き叫ぶことしか出来なかった。
私は無力だ。こういう時いつも感じる…リョウくん達が敵とやりあってる時、メンバーの子達が殴られている時、そして、アズサちゃんが大人数を相手に殴られながらも何度も立ち上がっている時。私は見ていることしか出来ない。
ただただ泣くだけの私を護衛の子はタクシーの中で必死に元気づけてくれた。だけど、私の涙は止まることを知らなかった。
タクシーがアズサちゃんの住む高級マンションの前に止まる。ドアが自動で開き、俯いていた私の耳には愛してやまない彼の声が入ってきた。