「…アズサちゃん!」
必死に叫ぶサクラの声に、長い夢から覚めたような感覚におちいり、私の目は現実を写した。いつの間にか、『Ruby』の奴らは私を取り囲んでおり、その後ろではサクラが護衛のヤツらに抑えられていた。
…白スーツのふたりは既に姿を消していた。
私はしゃがみこんでいた体を立ち上がらせた。そして、周りのヤツらに挑戦的な視線を送り、
「Come on,I'll crush you.(来いよ、叩き潰してやるから)」
手のひらを背にして手招きしてやった。挑発されていると分かったのか各々叫びながらこちらへ向かってくる男達。
「…行け!サクラ!」
だから、男達の意識がこちらに向いているうちにサクラを安全なところへ逃がすのが私の役目だ。