「…ひっ!」

私の後ろにいるサクラがその顔を見て悲鳴をあげる。サクラは恐怖で震えていて、顔が真っ青だ。


「…大丈夫だサクラ。」


気休めにしかならないだろうが、落ち着かせるようにほほえんで優しくその頭を撫でた。すると、小馬鹿にしたような、からかうような声で白スーツの男が言う。


「いいねぇ〜、友情ってやつは。…あぁ、そうだ。忘れちゃってるならおじちゃんの名前教えておかないとね」


その名を言う男の腰から見えた"それ"を捉えた瞬間、今までにないほどの激しい頭痛が走った。


おじちゃんの名前は神谷昇(かみやのぼる)。よろしくね、梓ちゃん



__________キキー!ガシャン!



__________ピーポーピーポー



__________パーン!


頭に鳴り響くいくつもの音。雲がかったように見える記憶の映像。私は、ただ脈打つように痛む頭を抱えるしか術はない。