「はい。瀬川です」


「っ…柊です。
瀬川先生…、陽奈が…陽奈がっ!」


「お母様は今、病院ですか!?」


「そうです…手術室前の…待合席に」


「瀬川先生…どうしたら…
陽奈が死んじゃったら…もう私っ…」


そこで電話が切れた。


陽奈ちゃんのお母さんの声は震えて
嗚咽まじりで泣き崩れていた。


お母さんの声を聞いて、電話の受話器を持つ手が無意識に震える。


涙も勝手に溢れて止まらない。


机に縋るように崩れ落ちた。


「陽奈ちゃん…っ」


嘘だろ…


死ぬ…わけ無いよな…?
そんなわけ…


もう、このまま2度と会えないなんて…
ならないよな…