だけど私はその優しさを引き離そうとする。


「…離し…て…」


「やだよ、もう陽奈ちゃんを
逃すわけにはいかない」


先生の肩に力が入らない手を添えたけど、
その手は先生に握られて。


「こんなに体冷やして…」


だって、死のうと思ってたんだよ?
先生の、この、暖かい手から逃げようと
してたんだもん。


まさか、今回も見つかると思わなかった。


「…っ…」


「おっと……陽奈ちゃん…?」


先生に繋がれた手が床に着いて
指がヒリヒリする。
壁に寄りかかっていた上半身も、悲鳴を
あげていた。