「見つけ…た…」


そう言いながら力強く私を抱きしめてから
屋上のドアを開けて、スペースのある
場所に私を運んだ。


雨に当たっていたせいで
屋根があるここでも私の体は冷たい。


あ…


この匂い大好きだよ。


少し薬品の匂いがする中にある、
ほんのりとした柔軟剤の匂い。


ずっとずっと…大好きな匂いだよ。


「…探したよ…陽奈ちゃん…っ
学校の中も外も……」


「ここに…居たんだね」


自分のスポーツタオルで私の顔をゆっくりと
撫でるように拭き、もう一度抱きしめた。