「っ…瀬川先生なんか…っ」


「陽奈、やめろ」


孝はもう、私が何を言いたいか
分かったんだろう。


だけど、孝の言葉なんて私の穴が空いた
心には響かなかった。


「瀬川先生なんか…大っ嫌い!!!」


先生の足元を見て思いっきり叫んだ。


ちゃんと目を見て言ってやろう、って
思った。


だけど…やっぱり、好きな人に対して
そんな事は出来なかった。


「陽奈!!」


「陽奈ちゃん!!」


孝の背中を撫でてくれる優しい手も
声も無視して歩いて来た廊下を走り抜けた。