自分でこの場を去る事も出来なかった。


歩けなかった


走れなかった


涙を我慢出来なかった


ただ立ち竦んでるだけだった


「あ!先生〜!
体育倉庫の鍵開けてください!」


運動場から生徒の声が聞こえて
思わず顔を上げた。


「あ、私持ってる!
今行くね〜」


瀬川先生と一緒に話してた女の先生は
保健室から運動場に出て行った。


「瀬川先生、ありがとうございました」


と、お礼を言って。