「孝君?頭あげて?」


「…っ…」


「あのね、孝君。
この子は…陽奈は、孝君が怖いんじゃない
のよ。」


「祐美さん?」


「陽奈は、あの日から少し男の人が怖いの。
特に…陽奈や孝君の年齢、
もしくは、もう少し上の人。」


「それは仕方の無い事なの。
お医者さんもそう言ってた。心がまだ
男の人を受け入れられる事が出来ないって。」


「だけど…瀬川先生は怖がらないんです」


孝…
やっぱりその事が辛いんだよね。
そうだよね、先生は怖くないんだもん。
自分だけが怯えられる対象って嫌だよね…