「…っ!…そうだけど?」


「…!」


眺も照れた様子だったけど、聞いた私の方も真っ赤になっていると思う。ヤキモチ…なんて、そんなハッキリ言われるなんて。


「……アイツ、同じクラスだよ」


「そ、そうなの?」


ステージ上で原稿を読んでいる…ナントカくんは、ものすごい仏頂面だったけど、眺に負けないくらいに整った顔をしていた。


短めの黒髪が、彼が何か武道でもやっているんじゃないかと思わせる。


「…さっき話して、友達になった」


「え、すごい」


眺、手が早い。…っていうと、ちょっと違うかもしれないけど。


「でも、」


眺は少し目を伏せてから、また私の方を向いた。


「さっき、ちょっとズルいなって思った」


「…っ、」


…ズルいのは眺の方だ。こんなの噓かもしれないのに、私の心拍を速くするだけ。


ゆらゆら揺れているような瞳の中にあるのは、果たして本心なのだろうか。