さっきは「三条さん」だったのに、いきなり「美羽」って呼んでくる椎名くんの、この距離の近さ。


女の子の友達もできたことなかったから浮かれてたのに、男の子に名前呼び捨てにされるなんて、恋愛初心者どころか人間関係初心者の私はキャパオーバーしそうなんですが。


「ん?」


そんな私の心情を知る由もない椎名くんは、優しく聞き返してきて首をかしげるだけ。その仕草が似合う時点で、爽やかだということが証明されている気がする。


「その…名前…」


「俺はー、眺」


「そ、そうじゃなくて…!その…男の子に呼ばれるの、なんか恥ずかしい…」


…言わなきゃよかった。これ、口に出すとさらに恥ずかしい。これからは気をつけよう。