更衣室から職員用の出入口まで、3人で並んで歩く。
「夏希さんの恋の進展に期待です!」
「恋の進展って、」
「同棲してて、何も無い方がおかしいでしょ」
「っ、だから、同居だってば!!」
楽しそうな2人を横目に溜息をつく。
確かに、血の繋がりの無い男女が同じ家に住んでいるのだから、何も無い方がおかしいのかもしれないけど、本当に何も無い。
湊の家に住む事になった、その日の夜から今まで通りの湊なのだ。あの合コン以前の距離感。だから、やっぱりからかわれてたんじゃないかって、思ったけど、どうしても、想いをぶつけてきた湊が嘘をついてるとも思えない。
「何、難しい顔してんの?」
「え、いや、なんでもない」
「何かあったら報告ですよ!夏希先輩」
「何かって、」
相変わらずキラキラした目でわたしを見る美琴ちゃんに、何も言えなかった。
わたしたちは、タイムカードを押し、会社を出た。