「どうしたの?」
「いや、何でもないです。片付け俺がするんでそのまま置いててください」
「本当に美味しかった!ありがとう。作ってもらったんだし、片付けはわたしがするよ」
「じゃあ、お願いします」
夏希さんは、自分のお皿と一緒に俺が食べたお皿を下げ、流しで洗い始めた。
「俺、拭きます」
「ありがとう」
夏希さんが、洗ったお皿を受け取り食器を拭く。
結婚したらこんな感じなのかなんて考えた自分がいて、恥ずかしくなった。
「これで終わりだね」
最後の食器を拭き終わり、食器棚に食器を戻した。
「じゃあ、部屋案内しますね」
「はーい!」
俺の後ろをついてくる夏希さんに、浴室やトイレの場所を案内し、残すは部屋だけとなった。
「ここ、夏希さんの部屋です」
「え!わたしの部屋なんてあるの!?」
「部屋余ってたんで使ってください」
「居候の分際で申し訳ない」
申し訳なさそうな顔をする夏希さんの耳元で「ずっと居てくれていいんで」と囁くと、夏希さんは、耳を手で抑え、俺から距離をとった。