「夏希さん、これカードキーです」


俺は、この部屋のカードキーを夏希さんに差し出した。


「本当に、怖くて持ってられないんだけど」


「大丈夫ですよ、すぐ慣れます」


「慣れるわけないでしょ!」



渋々カードキーを受け取った夏希さんは、無くさないようにと財布に入れた。



「お腹空きません?俺作りますよ」


時刻は、15時を過ぎようとしていた。
キッチンへ向かうと夏希さんも俺の後ろを着いてきた。



「湊の手料理!!食べる食べる」


「何がいいですか?」


「オムライス!湊が、昔家に遊びに来てくれた時、作ってくれたでしょ?あら、凄く美味しかったんだよね」


「っ、」



夏希さんが、覚えている事に驚いた。
少しでも夏希さんの記憶に俺が残っている事が嬉しい。

赤くなったであろう顔を夏希さんにバレないように下を向いて片手で顔を隠した。