「いい、季節ですね。」

彼はキャップを脱ぐと、髪をかきあげる。

「はは、そうですね。私も帽子持ってくれば良かったかなぁ。」

あまりにも、カッコ良すぎてそう言った。

「ああ、どうぞ。」

そう言って脱いだそれを、私に被せる。

…ピッタリ。

いや、正直に言おう。ちょっとキツイ。

…頭…ちっちゃ。

IQの高さと頭の大きさって反比例するんだな。

…え?

「どうか、した?」

「別に。」

まさか、私の方が頭デカくて落ち込んでるなんて、言えるわけもなく。

「多少は調整出来るんじゃない?」

そう言って、私の頭からキャップを取るとアジャスターを確認…

言えるわけもないのに、悟ったらしい。 「いや、きつくないから!いらない!返す!」

デリカシー…くっそう。

「可愛いのに。」

そう言った彼にイラついて振り向くと…

キャップ姿で微笑む。

……。

顔に免じて許そう。

と、思う。