【一言宜しいですか?】

「…はい」

【実雅側に問題はあります。…だけど、あなたにも大いにありますからね】



帰宅するなり、ゼロはそう言った。

「はい」

【気持ちはとっくに同じ比重!ゼロが言っていいならとっくに言ってます。なのに、雅実はその事を全然言わない。あなたの目標をお忘れですか?】

「成婚です」

【ええ、しかも20代のうちに一人子供が欲しいなどと言っていませんでしたか】

「言いました」

【あなたが、一言“好き”だと言えば成婚です、お分かりですか?二文字。たった、二文字】

「仕方ないでしょう?だって、私もやっとそうなんだって分かって…」

【チッ】

……え、AIの舌打ち?

舌ないのに?

「品のないやつだ」

【雅実のゼロです】

そうですね。

「でもさ、合体0が他の男性とも会えって。あんたの意見でもあるんでしょ?」

【勿論です。“イケメン”好きの雅実には、嬉しい限りでしょう?】

……嫌みなやつだ。

「会えば、何かが分かるのかしらね。8年探してやっと実雅さんだけだった。それがもう一人当てはまる人が出てきた…」

【そう、あなたはね】

「あなたは?」

【実雅は、物凄い数のオファーが来てますよ、毎日毎日毎日。見たでしょう?彼は条件を出していませんからね。実雅と会いたい人はそれこそ物凄い数いるって事です。ただ、実雅が断っている。その実雅と、マッチングしときながら、他の男性と会う。…刺されないように気を付けるべきですね】

「いや、だから…別に会わなくても…」

【そちらの男性と実雅より早く会っていたらどうだったのでしょうね】

「…どうって…」

【ま、顔が大事でしょうからね、あなたは。それに、彼は実雅よりも…コミュニケーションは上手いでしょう。目標を見失わないようにお願いします】

「…はい、お休み」

【お休みなさい、雅実。ブィッシュイーン】