「歩、そういえば今週末はサライの仕事休みって言ってたよな?」

風呂から上がり、上半身裸の俺をチラリと見た彼女は、すぐに目をそらし少し頬を染めて

「うん」
と返事した。
その仕草すら可愛くて思わず笑みがこぼれる。

がっつくのを我慢するのは、なかなか今の俺はしんどそうだ。

「土曜の晩、花火大会あるんだ。

病院の屋上が解放されて職員の家族も入れるから浴衣着て来てくれない?
俺もあがったら行くし、いつもつるんでる奴等が歩に会いたがってる。
奴等の彼女も紹介するし、何よりも小児科スタッフに見せつけたい…。」

「えっ?」

「俺にはこんな可愛くて美人な彼女がいるって知らしめたい。

そうすればもう俺にみんな寄り付かないだろ」

「モテるもんね、渉。
最近はとくに、、、色気あるし」

赤くなりながら口を尖らせる歩の隣に座り、肩を抱き寄せる。

「一緒にいるときだけだろ?」

「昼間も!

カフェにきたナースたちが噂してた。

『最近の坂口先生、脱アイドルしてきたね。
男の色気たっぷりでフェロモン半端ない。抱かれたい!』

って、目がハートマーク」

「誰がこうしたんだよ」

クスクス笑いながら耳元に唇をよせてペロリとなめると、びくんと飛び上がり慌てて俺から離れた。