「今日はまだ平気そうだな」

「うん、今日はすごく調子が良いの」

「なら……天気も良いし、散歩でも行くか?」

「……いいの?」

悪阻が辛い中、藍里は殆どを家の中で過ごしていた。
散歩はもちろん、買い物にも行けずにいたので久々の外出のお誘いに目を輝かせた。

「たまにはのんびりと外に出たいだろ?途中でしんどくなっても連れて帰ってやれるけど、どうする?」

「……行く!行きたいっ!」

抱き合ったまま顔を上げて満面の笑みを浮かべれば、智大も微笑んで顔近づけてくる。
藍里が目を瞑って触れるだけのキスを受け入れれば、智大は小さく笑った。

「大分キスにも慣れたな?」

「……毎日たくさんされたら慣れるよ」

この休みの間中、智大は毎日たくさんキスしたり抱きしめたりしてきた。
藍里も智大とのキスは好きなので大歓迎なのだが、ドキドキと高鳴る胸は未だに健在で、恥ずかしさまでは一向になくなる気配を見せない。

頬を染めながら少しだけ強がってそんなことを言ってみるが智大にはお見通しのようで、肩を揺らして笑うので藍里はプイッと横を向いた。

「もう……そんなに笑うなら今日はキス禁止だから……っ!」

「悪かった、機嫌治せって。ほら……」

「ん……」

藍里は体を抱き直され、宥めるように頬を撫でられながら反対の頬に口付けられた。
智大は恥ずかしさで拗ねてしまった藍里の扱い方を覚えてしまったようで、藍里は顔中にキスの雨を降らされるとすぐに智大を許してしまうのだった。