食事の手が止まっていたからか、智大に体の向きを変えさせられると智大の足の上に乗せられると同時に横向きになり、そのまま抱きしめられた。

涙で服が濡れてしまうだろうけれど、そんなことを今は考えられずに藍里は智大の温もりを感じながら胸板に擦り寄った。

「ごめんなさい……何か最近、涙脆くなったみたいで……」

普段なら何でもないことなのに泣きそうになる。
これが精神的に不安定になるっていうことかと必死に涙を止めようと目を擦っていると、智大に手を掴まれ目頭に唇を寄せられた。

「ん……っ」

「……しょっぱいな」

「な、舐め……っ……!」

智大の行動に驚いていたら、反対側の目頭をまた舐められて藍里はピクッと反応した。
衝撃で涙は止まってしまい、目を見開いて智大を見上げていると、智大は目を細めながら藍里の頬を撫でた。

「先輩の言っていたことが合ってるとはな……」

「先輩……室山さん……?」

数回会っただけだけど、室山のことは強く印象に残っていた。
男らしい豪快な性格と、部下やその回りに対する優しい眼差しを思い出していた藍里の頭に唇を落とした智大は、最近の藍里の体調のことを室山に相談していたことを話した。