「勝手に触ってすみません、怖かったですよね。地面に倒れるよりはと思ったんですが……大丈夫でしたか?」

「あ……は、はい……。ありがとうございます……」

入江とは、室山と一緒に家に遊びに来てもらって以来会っていない。
まだ入江に慣れていない藍里はビクビクしながらゆっくり立ち上がると、入江はまだ申し訳なさそうな顔をしていた。

「あのですね……俺が触ったこともそうなんですけど、その……お腹の方も大丈夫ですか……?」

「お腹……って……」

まさか……。と思いながら藍里が自分のお腹に手を当てると、入江は再び苦笑した。

「俺、今日永瀬先輩と入れ代わりだったんですけど、室山先輩に奥さんがご懐妊されたことを報告されていたのを偶然聞いてしまって……」

とても嬉しそうにされてましたよ。と付け加えられて、藍里は恥ずかしさのあまり頬を赤らめた。
妊娠が発覚した昨日の今日で、しかもまだ安定期にも入ってないのに色々な人に知られてしまっていることに藍里は閉口し、真っ赤な顔を両手で覆い隠した。