それから10分もしないうちに、いつもの黒がベースになっている車が道路の脇に停まり。
迷わず後部座席に乗り込めば、助手席の後ろに優翔が座っていた。
「鈴華、お帰り」
乗ってまだ数秒だというのに、ぎゅっと優翔に抱きしめられる。
慣れない私は相変わらずドキドキしてしまい、顔が熱くなってしまう。
「会って早々、抱きしめないでよ…」
「鈴華が恋しかったから。
今日突然遊ぶことになったの?」
「うん、まあ…」
「もー、いきなりだと心の準備できてないから寂しいよ」
拗ねたような言い方。
不覚にもかわいいと思ってしまい、キュンとしてしまう。
「いきなりじゃなかったらいいの?」
「ダメ、寂しい」
そう言って抱きしめる力を強めてくる。
少し苦しいけれど、それ以上に幸せである。
もし今のが優翔の本音だとしたら、それはとても嬉しい。