「ん、いい子」
「もう帰ります…!」

「知ってる。雪夜は電車?」
「……あっ、ちょっと待ってください」


山城先輩の言葉であることを思い出し、慌ててスマホを確認する。

見ると、やっぱり優翔から連絡がきていて。


“終わったら教えてね”



私が遊びに行く時、大抵このような連絡が来る。

そして終わったと返信すれば、宮木さんが迎えにきてくれるのだ。


もちろん優翔も乗っていて、『お帰り』と笑顔で言われる。

そんな姿も好きなのだ。


急いで終わったと返信し、山城先輩のほうを向く。


「今日はありがとうございました。
楽しかったです」

「電車じゃねぇんだな」
「はい!迎えにきてくれるみたいで…」


早く優翔に会いたいと思ってしまう時点で、私はもう手遅れなのだと悟る。

他の男の人に視線を向けることはできなさそうだ。