「ははっ、ボッサボサ」
「さ、最低です!」


自分でやっておいて笑うとか、本当にありえない。



「雪夜、怒んなよ」
「怒るに決まってるじゃないですか!」


手ぐしで髪を整えようとするけれど、山城先輩が口を開き、邪魔してくる。



「もー…」
「見た目に反してかわいいとこ多いんだな」

「え?何か言いましたか?
もうこんなことしないでくださいね」


何やら山城先輩が呟いた気がするけれど、うまく聞き取れず。


「なんもねぇよ、そろそろ行くから急げ」
「急げって、誰がこんな…!」

「静かに。うるさいから」
「……っ」


マイペースで、好き放題の山城先輩は私の唇に自分の人差し指を添えてきて。

喋るなということだろうけれど、その動作が妙に色っぽく感じられて思わずドキッとしてしまった。