「お昼のお礼」
「お礼…?」


もしかしてパンをあげたことだろうか。
けれどあれくらいで奢ってもらうのは悪い。



「あの、お昼のことは気にしないでください」
「普通にお礼しないといけねぇだろ」

「別に大丈夫で…」
「決定事項だから」


私が何度も粘るからだろう、最終的には面倒くさそうな顔をされて。

面倒くさがりなくせに、強引とは無茶苦茶な気がする。


「話が終わったなら次はふたりが何か歌いなよ!
はい、曲入れて」

「え、あ……」


いつのまにかふたりは歌い終わっていたらしく、みっちゃんにマイクと曲を入れるためのタッチパネルを渡される。

咄嗟に受け取ったのはいいものの、こういう時って何を歌うべきなのか悩んでしまう。


「一緒に歌う?」
「はい?」

「俺と、ふたりで」


先ほどからやけに絡んでくるような気がするのだけれど……気のせい、だろうか。

まあすぐ心を許しやすい人なのだろうと思い、ふたりで歌うことにした。