「幼なじみって一番近い存在だからチャンスじゃねぇの?」

「そ、そんな簡単なこと言わないでください」


一番近い存在かもしれないけれど、優翔が私のことを好きなのかと言われたら別である。

結局は一方的な片想いなのだ。


「一回告ればいいだろ」
「絶対に無理です!」

「なんで」
「関係が崩れるかもしれないじゃないですか」


どうしてか、私の恋愛話になってしまう。

そんな中みっちゃんと槇原先輩はノリノリで歌う準備を始めていた。


どうやらみっちゃんは“無気力王子”こと山城先輩ではなく、槇原先輩が気に入ったようだ。



「なるほどな」


面倒くさくなったのだろうか。
自分から聞いておきながら、返事が適当になる先輩。


「だから優翔のことは諦めて他の人に視線を向けようとしてるんです!」


とか言いながら、結局今日もまた優翔を好きになってしまった。

むしろ好きになっていく一方である。