特に話すことがないため、ドリンクのメニュー表に視線を移す。

すると突然山城先輩の手が伸びてきて。



「ここのフロート、オススメ」
「えっ…?」

そう言って“フロートメニュー”と書かれた部分を指差す先輩。



「好きなんですか?」
「ああ」

「なんか、食べ物のことになると少年みたいな顔しますね」


メニューを指差す山城先輩の目が輝いていたような気がして、思わず笑みが溢れてしまう。



「……雪夜は神田の話になると乙女みたいな顔に変わるけどな」

「なっ…!」


バカにされたとでも思ったのだろう。
先ほど終わったはずの話に触れてきて。

やっぱり優翔のことが好きだということに、先輩は気づいてしまったらしい。