「なんだ、相手が雪夜ならいいや」

すると山城先輩が安心したような表情へと変わった気がして。



「峻輝がそう言うって珍しいな。
今日も渋々ついてきたくせに」

「無理矢理連れてこられたの間違いだろ」


けれどすぐ、迷惑そうな表情へと変わる。
クールに見えて意外と感情表現が豊かなのかもしれない。



「でも相手が雪夜ちゃんで嬉しいんだろ?」
「ああ。雪夜は優しい」


優しいって、お昼にパンをあげただけであるというのに。

案外すぐ心を許すものだ。


「ちょっと鈴華!」
「な、何…」

「これはチャンスじゃない!」
「え?」


突然みっちゃんが興奮した様子で私に話しかけてきたかと思うと。


「山城先輩!
今、鈴華は絶賛彼氏募集中なのでどうですか?」

「……っ!?ちょ、みっちゃん!」


いきなり何を言いだすのだ。
それも絶賛彼氏募集中だなんて、恥ずかしい言い方。