「君が雪夜鈴華ちゃん、だよね」


じーっと犬みたいに人懐っこそうな先輩を見つめていたら、突然こちらに視線を向けてきて。



「あっ、はい…雪夜鈴華です。
お願いします」

慌てて自己紹介をして頭を下げる。


「こっちこそよろしくね。
俺は槇原 晴(まきはら はる)!

そんでこいつが山城 峻輝(やましろ しゅんき)で……って、峻輝?どうした?」


“無気力王子”の名前は山城峻輝さんらしく、ようやく視線を彼に向けることができた。

すると彼は驚いたのか、目を大きく見開きじっと私を見つめている。


「あんた、昼に会った雪夜…」
「あっ、はい。そうです」

どうやら先輩は私と昼休みに会ったことを覚えていたようだ。


「えっ!鈴華、山城先輩と知り合いなの!?」
「知り合いってほどでも…」


さすがはみっちゃん。
すぐに私と先輩との間に何かがあったと気づいてしまう。