まさか本当に昼休みに会った先輩だとは思わなかった。


「待って鈴華、本当に無気力王子が来てるじゃない!」


騒がれたら面倒なため、カラオケ前で合流することになったのだけれど。

先に着いていた男の先輩ふたり。


その片方はなんと昼休みに会った先輩で。
どうやら“無気力王子”と呼ばれているらしい。



「先輩、お待たせしました〜!」

「あっ、きたきた。俺たちも今来たところだから大丈夫!」


戸惑う私に対し、みっちゃんは笑顔を浮かべて男の先輩に話しかける。

彼女の知り合いは“無気力王子”ではなく、もうひとりの男の人で。


その人も顔が整っており、人懐っこい笑顔を浮かべていた。

その人を見て犬みたいだな、と素直に思った私。