「もー、せっかく神田があんたのためにパン買ってきてくれてたのに。お昼まだ食べてないんでしょ?」

「……え?」


みっちゃんの言葉に少し引っかかる。
優翔が私のためにパンを……?


「ほら、これ。
あんたに渡しといてだって」


そう言ってみっちゃんに袋を渡される。

中を見ると、先ほど意地を張っていらないと言っていたチョコチップ入りのメロンパンにピザトーストで。


あんなひどい断り方をしたというのに。
意固地になって逃げたというのに。



パッと優翔のほうに視線を向ける。
意外とすぐに彼は私の視線に気づいてくれて。

目が合うなり、いつもの優しい笑顔を浮かべられて思わず泣きそうになるけれど。


泣く代わりに私も笑顔を浮かべ、“ありがとう”と口パクでお礼を言う。

そんな私を見て彼は“どういたしまして”と返してくれ、また男子たちの会話に戻っていった。