「あの、お昼は忘れたんですか?」
なんとなく気になったから聞いてみる。
お昼を忘れた上に財布も忘れ、買えなかったパターンもあり得るだろう。
「いや、鞄の中にある」
「……え?」
「取りに行くの面倒だったからそのまま寝てた」
うまく彼の言葉が理解できないのは、自分の頭が悪いからだろうか。
“そのまま”寝ていたって…?
「い、いつから寝てたんですか?」
「ん?4限目から」
「よ、4限目って…」
確実にサボりではないか。
それでお腹が空いたけれど、取りに行くのが面倒で寝ていた…と。
無茶苦茶だなと思った。
「別にサボりじゃねぇよ」
「え?」
さらにはサボりじゃないと本人は言い張る。
「体がダルかったんだよ」
「でもそれなら保健室に…」
「保健室だと先生うるせぇし、クラスの奴らも休み時間に来てうるせぇから無理」
面倒くさそうな顔をする彼。
なるほど、と納得するのに時間はかからなかった。