「大丈夫、そうですね…?
それなら良かったです」


まったく反応を示さないため、大丈夫なのだろうと思い立ち上がろうとしたけれど。

突然腕を掴まれてしまう。


「えっ…?」

思わず彼のほうを向くけれど、じーっと私のほうを見つめるだけ。


無表情のため、感情が読み取れないでいると───



“ぐうう”と、突然男の人のお腹が鳴って。
私の腕を掴みながら起き上がる彼。

とくに恥ずかしそうな様子はなく、ひたすら私を見つめている。


「……腹減った」

かと思えばようやく口を開いた彼。
その表情は心なしか、先ほどより暗くなった気がする。


じーっと私を見つめる彼が何を伝えたいのかなんとなくわかった。


「えっと、パン食べますか…?」


恐る恐る口を開けば、途端に目を輝かせる彼がかわいくて、不覚にもキュンとしてしまった。

これがギャップというものだろうか。