あの時の優しい声を思い出す

あの優しさは私に向けられたもの



痛いくらいに優しい想い

思い返せば秋鳴のそれはところどころで垣間見えてた






「…秋鳴。」

「なんだよ」

「ちゃんと、好きって言って」

「…」

「そしたら、ちゃんと私も答えるから」


真っ赤であろう顔で秋鳴を見上げる


秋鳴は一瞬目を見開き、視線をさ迷わせる


けど、すぐに意を決したように
私に視線を定めた


「…好きだ
だから、俺と付き合え」


命令口調は変わらない
けど、少し照れたような表情と
どこまでも優しく響くその声に


表情を緩ませ私は答えた


「はい」



秋鳴が何か返すより先に


背伸びして秋鳴にキスをした