「いいんだよ。ほら行くぞ」

先にお店に入る秋鳴を慌てて追いかける



「いらっしゃいませ」

お店の人の
上品な出迎えの声を聞きながら
すたすたと店内を歩く秋鳴に続く

「どんなものをあげたいの?」

「女はどんなやつがいいんだ?」


質問に質問で返される


「うーん…あげる人の好みにもよるよ
ただ指輪とはネックレスは貰って重いと思う人もいるから、無難なのはブレスレットとかかな」

「んじゃ、ブレスレット」

「そんなあっさり…」


なんの拘りもないようで
言われるがままブレスレットコーナーに移動する
秋鳴


「いっぱいあるねー」

「そうだな」


ずらーりときらびやかな装飾品が並ぶ
モチーフものから
少し独創的なものまで
デザインもさまざま


「秋鳴がプレゼントをあげたい人はどんな人?」

「ガキみてーな女」

「えー?じゃあハートとか星モチーフのにする?
でも子供みたいだからって
そういうのが好きっては限らないけど
…まあ、これも好みだからなぁ」


「例えばひなとかは、かわいい感じのが好きだから
こういう花の形を型どったやつとか良さそうだし」

「ふーん。ならお前ならどういうのいいんだよ」

「私?」



問われてうーんと首をひねる

…私だったら

じーっとショーケースの中を見つめる



「私はシンプルで使い勝手の良いやつが好きかな
例えばこういうの」


指差したのは
派手すぎず地味でもない
中央にいくつか宝石が散りばめられたブレスレット

シンプルだけどデザイン自体は凝ってる


どんな服装にも合いそうだし
使い勝手も良さそう