美沙の優しい言葉が胸に染み込んで、目にじわじわと熱いものが浮かんできた。

「美沙……ありがとう。ごめんね」

 美沙も目を潤ませながら言う。

「もう謝らないで。謝るとしたら、私の方だよ。もう一度詩穂に連絡する勇気がなくて、詩穂を結婚式に招待できなかったんだから」
「そんなことないよ。それは私のせいだから」

 美沙は指先で涙を拭って大きく息を吐いた。

「誰のせいとか、そういうのはもう今日でおしまいにしよう。ね?」

 美沙に顔を覗き込まれて、詩穂は頷いた。バッグからハンディタオルを出して目に当てたが、涙が止まらない。

「よかったら……話を聞くよ? 昔みたいに話してよ」

 美沙が詩穂の肩に自分の肩を軽く当てた。その仕草が親しげで優しくて、詩穂はぽつりぽつりと話し出す。

「私ね……大学を卒業して就職してから……ずっといいことがないと思ってたの」

 最初の会社が倒産した話、次に就職した会社で弘哉と出会った話、彼との別れ、蓮斗との再会をかいつまんで話す。

「大学生の頃、須藤くんってきっと詩穂に気があるんじゃないかと思ってたんだ。すぐ意地悪言ったり、からかったりしてきたしね」

 美沙が言った。