それを、どうしてこの人が?聞いたのだろうか、誰かに。それとも送られたであろう書類の名前を読み間違えた?読み仮名は……ふってあってはずだ。

なら、一体……?


私の質問に応えようとして、だけど、どうしたらいいのかわからないと言うように視線をさまよわせている。

「……、ごめん、俺の知ってる人に似てたからかな、間違えちゃった。ごめんね、これからよろしくね、陽芽さん。」

『同じ学校で同学年なんでしょ?別に呼び捨てでいいわ。……私とその人、そんなに似てるの?』


私は、今まで自分と似ている人にあった事がない。


「じゃあ陽芽って呼ばせてもらうね。俺のことも樹詩でいいから。」

『じゃあ、樹詩、で。それで?私の質問にはまだ答えてもらってないわ。』


終始困り顔になっている樹詩を見て、眉を下げる。何よ、私が悪者みたいじゃない。


私と樹詩の会話を聞いてか近くにいた樹詩の両親が少し焦っている。ああ、またか。私は自分の目の前のことしか集中できなくて周りが見えなくなることが多い。


いつも、人を困らせてしまう。


『やっぱり、いいわ。これからよろしくね。』

「うん、よろしく。」


樹詩は淡く微笑んだ。少し不思議な表情をしながら。