自分は騎士だった。守りたい姫がいた。俺は戦死した。敵国の王の首をはねたのと、自分の首か飛んだのはどっちが早かっただろうか。その敵国が、親友が王子をする国だったこと。

____その親友の前で、親友の親である王の首をはねたこと。親友の絶叫。


それをあくまで今世の俺が客観的に書いたメモ。ノートに覚えてる範囲で書いたメモを自分のミスで落とし、ファンタジー小説好きの紫苑に見られた。


そんなファンタジー小説大好きの紫苑に、ざっと昨日の話を説明する。

一応だけど主人公たちが生まれ変わって再会した、と。自分のことではない。あくまで客観的にメモをした自分の記憶であるのだから。

『なぁ、紫苑。』

「ん?」


こてんと首を傾げる姿は可愛いが、家は極道一家というギャップが激しい人間。


俺の、親友。そしてきっと……。


『お前がこの小説の隣国の王子だと仮定して、お前だったら、目の前でオヤジを殺した親友を、憎むか?』


多分、俺の予想通りならば、彼は。


「うーん、分からない。でも僕だったらその騎士よりも相手国の王様を憎む、と思う。僕、はこの小説の王様嫌いだな。」


彼はきっと、敵国の王子だと思う。