『瞳の、色……?』

「そう、瞳の色。」

どうやら聞き間違いではないらしく、ニコニコとしながらも早く答えろというような圧さえ見えてきた。


『あ、青色です。綺麗な、青色。サファイヤ、みたいな。』


「やっぱりか。」


そうして桜我さんは意味深につぶやいたあと、なんとも形容しがたい表情で俺の顔を見て笑った。


「僕の瞳の色はね、茶色だよ。」

『……は?』


はく、と唇が動いたけれど音にはならなかった。いや、音にさせる言葉が出てこなくて、結局は疑問の言葉しか打つことはできなかった。


「僕の瞳の色はね、茶色なんだ。青色に見えているのは多分、君だけ。他の人に聞いてご覧。

きっとみんなそう答えるさ。」


愉快そうに笑う桜我さんは続けて俺に爆弾を落とした。


「逆に俺から見れば、君の瞳の色こそ青色に見える。」


『……え?、ど、どういう事ですか?俺の目も茶色ですよ。』



静かに俺の言葉を飲み込んで、桜我さんは2つ目の爆弾を投下する。



「君は、前世の記憶があるだろう?」





キミハ ゼンセ ノ キオクガアル ダロウ?


きみは ぜんせのきおくが あるだろう?


君は、前世の記憶があるだろう?




言葉としてすぐには入ってこなかったけれど、やっと言語化される。