「あと他にさ、処分して欲しいものがあって」


既に手ぶらの彼が右斜め下を見て言った。


「他に?なんかあったっけ?」


右斜め下。


この立方と目線の彼を見たことがある。


でもそれがどこだったか、どんな場面だったか


そんなことは思い出せない。


思い出すヒントもない。


あんなに好きだったのに、こんなに好きなのに


それでも細かいことは思い出せないことが多い。


「モノじゃないんだけどね」