「あー!暑い〜!!!」


これは、澪と付き合う前の、蒼の物語。


「瀬戸内君、ノート出して?」


「あ、ごめんね、鈴木さん、忘れてた!お願いします!!」


澪と蒼は同じクラスだった。


「おっけー」


ツヤツヤな黒い髪にスッとした顔立ち、大きい目にツヤツヤの唇


やっぱり鈴木さん、すごい美人だなぁ…


「蒼、行こー」


「おー、蓮ちょっと待ってー」


次の理科に向けて教室を移動する。


「蓮君!」


その時、蓮のことを誰かが呼び止めた。


「雪?」


途端に嬉しそうに笑う蓮。


周りは蓮の感情わかりにくいって言うけど、俺にとってはすごくわかりやすい。


最近付き合い始めた雪ちゃんに会うと、特に。


もう、なんかふわふわーって、感じ?笑


なんて考えてクスッと笑っていると、


「瀬戸内君、一緒にいこ!」


と、鈴木さんに話しかけられた。


「え?あ、うん、」


なぜか、鈴木さんが俺を誘ってくれたので、2人で理科室に向かった。


「ごめんね、急に…。雪がさ、蓮君といるとすごい幸せそうで!蓮君と一緒に行きたいって言ってたから、2人にしてあげたいなーって、思って」