「でも、どうして?」

「佐奈ちゃん、この前あの子に花を贈ったろう?
それが嬉しかったんじゃないかい?」

「あれは、お礼のつもりで……」


榊の他にも花を贈った相手がいた

少し前に私に道を教えてくれた
おばあさんの孫のあの子

お礼を言い損ねてしまったから代わりにって


「いいんだよ
気にしないで受け取ってあげておくれ」


「その花の花言葉も色々あるんだけど
多分、応援の意味で贈ったんだろうね」

「応援……」


そのままだと傷んでしまうからと
おばあさんが一輪挿しに花を生けてくれた




帰宅後


持って帰ってきた花を部屋に飾った

たった一輪だけ

なのに、殺風景な部屋が明るくなったように感じる